エリオット波動の概要

上げと下げの基本パターン

エリオット波動の基本パターンは、5つの波で上げて、3つの波で下がるというものです。

上図で言えば、@〜Dまでが上昇波で、A〜C までが下落波です。 つまり、エリオット波動によると上昇相場は5波で構成され、下落相場は3波で構成されているというわけです。

そして、この上記の@〜Dおよび A〜C までがさらに大きな波(下図のT〜X波)の一部を構成します。 上図の@〜Dはこの大きな波のT波に、A〜C はU波に当たります。



上図の値動きはエリオット波動のルールに基づいて私が作った架空の値動きですが、なかなか自然な感じの値動きではないでしょうか。 もっとも、美し過ぎるとも言えます。 現実には、このような自然すぎる相場になることは期待できません。

「大きな波」も5つの波で構成されていますが、エリオット波動の考え方によると、この「大きな波」も、それよりもさらに大きな5つの波の一部となります。

逆に小さな波もミクロの視点で見れば、小さな5波や3波で構成されていると言われています。 1つ目の図で言えば、そこに描かれている各波(@〜D)の、例えば@は5波で、Aは3波で構成されているということです(図には表れていませんが)。

デイトレードで用いるような時間足や分足にも推進波や修正波は現れているとされます(実際にはノイズが多すぎてデイトレへの利用は難しいようですが)。

最も大きな波は?

上記のように、小さい波と大きい波いずれにしても、どこまで行っても同じ構造で構成されているという考え方のことをフラクタルと言いますが、仮に波動が真にフラクタルであるとすれば相場は無限に上昇(あるいは下落)し続けなくてはなりません。 そうでない限り、5波で上げて3波で下げるというフラクタル構造を維持できないからです。

それでは波はどこまで大きくなるのでしょうか? R.N. エリオットは Subminuette から Grand Supercycle まで9つの規模の波を想定しましたが、理論的にはどこまででも大きい波(数百年とか数千年でも)を考えることはできます。

しかしそれよりも大事なのは、エリオットの頭の中では「最大規模の波は上げ相場である」というイメージがあったと思われる点です。

20世紀前半のアメリカという環境においては、世界の景気は最終的には果てしなく上昇していくのだというのが常識で、エリオットもこの「常識」から逃れられなかったのではないでしょうか。

現実には、相場の最大規模の動きが上げ相場であるとは限りません。 外為(FX)相場の、最大規模の動きは3波構成のレンジであると言われていますし、日経平均株価の一番大きい波(1970年〜現在)を見ても推進波であるようには見えません。

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