エリオット波動の概要

トライアングル

修正波の1つであるトライアングルは、3波構成のA〜E波で構成されています。 つまり、A、B、C、D、Eという5つの波があって、それらがいずれも3波(ジグザグであるのが普通)で出来ているというわけです。

そして、一般的にはA波からE波へと進行するにつれて波のサイズが小さくなっていきます。 そして、波の小型化に伴って値動きが大人しくなり、出来高が減少します。

トライアングルには様々なバリエーションがありますが、いずれにしてもトライアングル全体では、押し(上げ相場)または戻し(下げ相場)として機能します。 つまり、トライアングルの始点が終点よりも、上げ相場であれば低い位置、下げ相場であれば高い位置となります。

上げ相場において(トライアングルと思われるパターン全体の)始点よりも終点が高い位置にあったり、下げ相場において始点よりも終点が低い位置にある場合、それはトライアングルに見えてもトライアングルではありません。 別の解釈が必要となります。

トライアングルは推進波であれば第4波、修正波であればB波に生じます。 複合波に生じる場合には、最後のX波として生じます。 まれに推進波の第2波として生じることもありますが、その場合には複合波の一部として生じます。

株式相場においてトライアングルが推進波の第4波として生じるとき、その後に続く第5波(通例インパルス。 ときどきディアゴナル)の値幅はトライアングルの最大幅(普通のトライアングルであればA波。拡張型であればE波)と同程度になることが多いと言われています。 相場に勢いがある場合には、この第5波は拡張波となります。

商品市場においては、日足以上の(デイトレではない)規模においてトライアングルの次に来る第5波が(第3波や第1波に比べて)最長となります。

トライアングルの種類

トライアングルには以下の5種類があります。 以下の図はいずれも上げ相場の押し目としてトライアングルが生じた場合を示しています。 下げ相場の戻しとしてトライアングルが生じる場合は、上下が逆になります。
  • 対称型
    トライアングルの底辺と上辺が対称的に収束していくタイプのトライアングルです。 B、C、D、E波のうちの3つが、少なくとも前の波の50%以上を逆行します。 E波の終点がトレンドラインに触れないケースが少なくありません(下図では触れています)。

    B波の長さは A波の38.2%〜261.8%(2.5倍超)という幅広い範囲であり得ます。 ただ、A波と B波の長さが同じになり難いとは言われています。

    拡張型を除く(収斂するタイプの)トライアングルでは、トライアングル終了後の推進においてトライアングルの最も大きな波(A波またはB波)の75%〜125%の値幅を動きます。 125%を少し超えることもありますが、大きく超えることはありません。

  • A波短縮型
    A波が短いタイプのトライアングルもあります。 B波の終点がトライアングルの開始地点(A波の始点)を超えるために、このような形になります。 他の性質については対称型トライアングルと同じです。

  • 上辺下降型
    トライアングルの上辺のみが下降してゆき、底辺は水平となるタイプ。

  • 底辺上昇型
    トライアングルの上辺が水平で、底辺が上昇してゆきます。トライアングルの上辺を形成するラインにA波の始点は含みません。 B波の始点とD波の始点だけで見ます。

  • 拡張型
    一般的なトライアングルが収束してゆくのに対して、パターンが進むにしたがって波が拡張してゆき逆三角形を形成するタイプのトライアングルもあります。

    拡張型トライアングルを構成する波は、右隣の波の50%超の値幅でなくてはなりません(例えば、D波がE波の50%以上でなくてはならない)。

    拡張型トライアングルでは、E波の値幅がが最も大きいだけでなく、波の構造複雑で期間も長くなる傾向にあります。 また、E波は A波と C波の終点により形成されるトレンドラインを超えるのが普通です(上の画像では超えていませんが。 トレンドラインをいったん越えた後に、逆転して推進する)。

    拡張型トライアングルが完成した後の推進波の値幅が、E波の値幅を超えることは滅多にありません。

  • エクステンション(延長)
    稀に、トライアングルを構成する波のうちの1つが、さらにトライアングルになることがあります。 そのような場合、トライアングル全体の波の数は9波となります。

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